宅建業大臣免許の本支店入替手続きについて

宅建業者が本店と支店の位置を変更する際には、多くの法的手続きが必要となります。特に、都道府県をまたいでの移転では、その手続きは一層複雑になります。

本記事では、東京都内に本店を構える大臣免許業者が本店を他府県に移転する場合の手続きについて詳しく解説します。

手続きの前提条件

最新の登録情報:本店と支店の会社の登録情報が最新である必要があります。住所や専任取引士などに変更がある場合、先にその手続きを行っておく必要があります。

  • 許可更新期限:許可の更新期限にも注意が必要です。期限が近い場合は、更新手続きも併せて行うことをお勧めします。

手続きの流れと費用

①整備局への変更届出

  • 本店変更:東京から神奈川への本店の移転手続き
  • 支店廃止:神奈川の支店を廃止する手続き
  • 支店新設:東京に新たな支店を設立する手続き

これらの手続きは、本店となる営業所の所在地を管轄する整備局へ変更届を提出する形で行います。

②保証協会の手続き(全日本不動産協会加入)

  • 免許換・転入出届:本店であった東京都を管轄する東京都本部へ提出
    本店を東京から神奈川へ、支店を神奈川から東京へ
  • 廃止届(従たる事務所):支店であった神奈川の事務所を廃止する
  • 入会申込書(従たる事務所):本店であった東京の事務所を支店として入会手続きを行う

③分担金の納付

手続き前には、本店のある東京都本部に60万円、支店のある神奈川県本部には30万円が供託されています。

手続きを行うことにより東京都本部に供託されている60万円は神奈川県本部へ移管し、神奈川県本部に供託されていた30万円は数か月後に返還され、支店入会の際には再度東京都本部へ30万円を供託する必要があります。

その他に、事務手数料として移転先地方本部及び東京都本部へそれぞれ3万円を支払う必要があります。

まとめ

宅建業の本支店入替手続きは、多くの法的要件と手続きが伴います。

特に都道府県を跨いでの手続きは、その複雑性から専門的な知識と経験が求められます。

行政書士岩元事務所では、このような複雑な手続きをスムーズに行うための専門的なサービスを提供しています。安心してビジネスを展開できるように、ぜひ私たちにご相談ください。

建設業許可の欠格要件は何に気をつければよい?

建設業許可を新規に取得するとき(または許可を更新するとき)は、「この条件に該当することがあると許可が取れません(更新できません)」という欠格要件がありますので、一応注意しておく必要があります。

建設業許可の取得に関する主な欠格要件は、次のようなものがあります。(分かりやすいように、法律の条文の言い回しを変えたり未成年者に関する欠格要件など一部を聖楽していますので、より正確な欠格要件を確認したい方は建設業法などの条文をご確認ください)

1.建設業許可の申請書に嘘の内容を書いたり、重要な事実を記載しなかったとき。

2.会社の場合は会社の役員や政令使用人など、個人の場合は本人や支配人などが、以下のような状況にあるとき。

  • 破産手続き開始の決定を受けて復権していない
  • 不正手段で許可を受けてその許可を取り消されてから5年を経過していない
  • 取り消しに関する聴聞の通知を受け取ってから取り消しを免れるために廃業届を提出して5年を経過していない
  • 適切な工事をしなかったことで公衆に危害を及ぼしたり、及ぼすおそれが大きいとき
  • 請負契約に関して不誠実な行為をしたことなどによって、営業停止の処分を受けてその期間が経過しない人
  • 許可を受けようとする建設業の営業を禁止され、その禁止期間が経過していない人
  • 禁錮以上の刑に処せられて、その刑の執行を終わって5年を経過していない人
  • 禁錮以上の刑に処せられて、その刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない人
  • 建設業法、建築基準法、宅地造成等規制法、都市計画法、景観法、労働基準法、職業安定法、労働者派遣法の規定で制令で定めるもの、暴力団員による不正な行為の防止等に関する法律、刑法の傷害罪、現場助勢罪、暴行罪、凶器準備集合罪や結集罪、脅迫罪、背任罪、暴力行為等処罰に関する法律などの法律に違反して罰金刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない人
  • 暴力団員や暴力団員でなくなってから5年を経過していない人
  • 暴力団員等が事業活動を支配する人(会社)

上に挙げた欠格要件をざっくり説明してしまうと主に、

  • 建設業許可を不正に取得しようとした人
  • 一定の刑に罰せられた(執行猶予になった)あとに一定の期間が経過していない人
  • 暴力団関係の人

といった人が建設業許可の欠格要件に該当して、許可を受けることができないということになります。

本人が個人事業として建設業許可を申請する場合や、一人社長の会社が建設業許可の申請をするケースでは、自分が欠格要件に該当するかどうかを確認するだけですので、手続き上、問題になることは稀です。また、仮に欠格要件に該当していた場合でも、許可に関する法定手数料が戻らず、また許可を取得することもできなくなりますが、被害が及ぶのは自分個人の範疇に属することなので、問題が大きくなることはあまりありません。

建設業許可の手続きで欠格要件が問題になりやすいケース

逆に問題が生じやすいのは、建設業許可を受けようとする会社に複数の役員がいる場合や、ワンマン社長の建設会社で許可申請の担当者となった人が手続きを進めるケースです。

前者では、たとえば「実は酔った勢いで警察のお世話になったことが……」といった記憶のある役員が含まれていても、なかなかそれを公に言うことができず、隠したまま許可の手続きが進んでしまう(結果として許可が下りずに手間やお金だけがかかってしまう)ケースが考えられます。

後者では、ワンマン社長に許可申請の担当者である一社員が「社長。社長って犯罪者ではないですよね?あと暴力団員じゃないですよね?」とはなかなか聞きづらいため、確認を取らないままに許可の手続きが進行して、行政庁から指摘が入って欠格要件に初めて気づくようなケースが考えられます。

欠格要件に該当する人が存在するケースは比較的少ないとはいえ、だからといって全く何も確認せずに申請書を提出してしまうと、しばらく審査日数が経過した後(つまり、周囲は「これで許可が取れる」と思った後)、急転直下で許可取得が不可能な事態に陥ってしまいます。

可能性は低いとはいえ、会社代表者や役員などが欠格要件に該当していないことは、しっかり確認を取ってから手続きを進めるようにしましょう。

建設業許可の財産的要件の証明方法

建設業許可を取得するためには、経営業務管理責任者や専任技術者という「人」の要件をクリアするほか、財産的要件という「お金」の要件も合わせてクリアする必要があります。

財産的要件については、同業者さんとの会話などで話題にあがることも多く、ある程度の内容については既に知っている方も多いかもしれません。逆に言えば、知らないまま許可を受けようとすると、かなりの手間や日数を余計に要してしまうこともありますので、ある程度の注意を要します。

財産的要件の証明

建設業許可では、以下のような要件のいずれかをクリアしていれば、財産的基礎等があるとして取り扱われます。

1.自己資本の額が500万円以上の場合

既に活動中の会社では、決算書の自己資本額が500万円以上あれば、建設業許可を申請する上で「財産的基礎あり」とされます。

設立したばかりで決算期を迎えていない会社の場合は、資本金の額が500万円以上であれば申請書類上はこの要件を原則満たせます。

そのため、個人事業で続けてきた建設業を、会社を設立して法人化すると同時に建設業許可も合わせて取得するというケース(非常によくあるケース)では、資本金の額をいくらに設定するかで許可取得までの日数に違いが出てくることがあります。

これから個人事業を法人化して建設業許可の申請をする場合や、新しく会社を設立して建設業許可の申請をするという場合、設立する会社の資本金の額は500万円以上にしておくと許可申請の財産的要件の証明がスムーズになります

2.500万円以上の資金調達能力があると認められる場合

金融機関から500万円以上の融資を受けられる能力があると認められる場合ですが、これを証明するために通常は「500万円以上の預金残高証明書」を使うケースが多いです。

既に軽微な工事を取り扱っている会社が、新たに建設業許可を取得するというケースでは、工事代金の入金などの時期に500万円を超える残高となった口座の銀行で、預金残高証明書を発行してもらいます(複数の銀行口座合計で500万円を超える場合は、通常、同一日付の預金残高証明書を発行すれば許可申請書が受理されますが、この方法をとる場合は申請先の行政窓口で念のため確認をとっておくほうがよいでしょう)。

なお、預金残高証明書は申請より1ヶ月以上前に発行されたものは通常、証明資料として取り扱ってもらえません(この期限についても、あらかじめ申請先の行政窓口や手引きで確認しておくことが大事です)。

以上から、既に活動中の会社が建設業許可を取得する場合、許可申請の書類を概ね準備しておいて、入金のタイミングで残高が500万円以上になったら預金残高証明書を発行してもらい、即座に建設業許可の申請書を行政窓口に提出するという流れがスムーズです

建設業許可の専任技術者とは

建設業許可をこれから取得する場合、そして取得した建設業許可を維持する場合、人の要件として「経営業務の管理責任者」と合わせて設置を求められるのが「専任技術者」です。

専任技術者は、許可業種に応じた資格や経験を有する人を、全ての営業所に置かなければならないため、多少規模の大きな建設会社さんでは問題になりやすい要件の一つとなっています。

どんな人が専任技術者になれるのか

まず「どんな人が専任技術者になれるか」ですが、その条件は大きく「資格」と「経験」に分かれます。

資格を有する者

許可を受けようとする(または取得している許可の)建設工事に関して、一定の資格を取得していることや学校の卒業証明書を有していることで証明します。

簡単にいってしまうと、決められた指定の資格を持っている人や、指定の学部・学科を卒業している人が、建設業許可の専任技術者になることができます。

中でも、建築士や土木施工管理技士などの国家資格を有する人がいるケースでは、建設業許可上の専任技術者としての要件を証明することが容易ですから、それだけ許可の取得に関する手続きもスムーズになりやすい傾向があります。

実務経験を有する者

専任技術者の証明としては、国家資格や学部の卒業で証明する方法のほかに、許可を受けようとする建設業にかかる建設工事に関して、10年以上の実務経験を有することを証明する方法があります。

国家資格や指定の学部・学科の卒業と異なり、資格者証や卒業証明書などがあれば証明可能というような簡潔な流れでの証明ができませんので、実務経験で証明していく場合には10年分の資料の収集や整頓が必須です。

「個人事業として10年以上建設業に携わってきたので、そろそろ許可を取りたい」といったケースでは、手元に10年分の経験を証明できるだけの資料が残っているかが重要となりますし、また「10年以上の実務経験がある人を雇用するので、専任技術者としたい」といったケースでも、他社で10年以上実務に携わっていたことが証明できる資料を用意できるか、なかなか難しいこともあります。

資格で証明する場合はまだしも、実務経験で証明する場合には「こんな方法でも証明が可能」という様々な方法が検討できますから、場合によっては行政書士など専門家に相談して打開策を検討するのも一つの手となります。

専任技術者の専任性について

専任技術者はその名称のとおり、「専任」であることが前提です。

会社内の他の仕事がメインで、片手間に専任技術者として仕事をするということは認められていませんし、他社に勤めている人や個人事業を営んでいる人、他社の常勤役員に就任している人なども原則、専任技術者になることができません。

他の許可や免許において専任性を求められている責任者に就いている場合も、基本的に専任技術者になることができません。たとえば宅建業免許における専任の宅地建物取引士である人や、建築士事務所登録上の管理建築士となっている場合などがそれに該当します。

もっとも、同じ会社の同じ営業所内であれば、建設業許可上の専任技術者と宅建業免許上の専任の宅地建物取引士を兼ねることが認められる場合もありますので、兼任させなければ専任技術者の設置が難しいというケースでは、許可申請先の都道府県で例外的な扱いとなる条件を満たしているか、予め確認しておくほうがよいでしょう。

常勤性の証明

専任技術者はその営業所に常勤していることが求められますが、それらの証明手段としては通常、住民登録している住所から営業所まで問題なく通勤可能であること、会社の社会保険に加入していて給与も問題ない額が支払われていること、などによって確認されることになります。

住民登録上の住所から営業所まで、多少距離が遠い場合には通勤定期券など捕捉資料を求められるケースもあります。

また、たとえば住宅ローンなどの関係で住民票を他に移せない状況の中、会社の都合で住民登録している住所から直接通うことが難しい営業所への勤務を命じられているというケースも往々にしてあると思いますが、そのような場合には、営業所に通勤可能な場所に一時的な部屋を借りている資料等で証明していくなどの方法が考えられます。

実務経験の証明や常勤性が証明できず許可が取れない事態を防ぐために

建設業許可の専任技術者の要件では、上でも少し触れたとおり10年の実務経験で証明するケースや、常勤性を証明する場面で適切な資料が用意できずに許可が受けられないという状況も起こりえます。

本来、適切な資料を分かりやすく整頓して用意すれば問題なく許可が受けられるのに、そこに不備があって行政窓口で申請を受理してもらえなくなってしまう事態は非常にもったいないことです。

実務経験を証明するための資料の収集や選別に悩まれたときや、常勤性が証明できるか微妙だと思われた際は、建設業許可の申請手続きに詳しい(様々な申請実績を持つ)行政書士に相談して、申請手続き全般のコンサルティングや代行をしてもらうことも検討してみてください。

「建設業許可の申請なんて自分でもできる」と同業の方に言われることも多いかもしれませんが、それはごく簡単に申請が完了する状況が元から整っていたからという理由も考えられます。ケースによっては専門家である行政書士でも難儀する許可申請というのもありますので、お困りの際にはお電話・メールにてご相談ください。

経営業務の管理責任者とは

建設業許可をこれから取得しようとするときは、様々な許可の要件を満たしていることを証明する必要があります。許可要件は大きく「人の要件」と「物(金)の要件」に分かれますが、経営業務の管理責任者は「人の要件」で最初に確認しなければならない許可要件になります。

経営業務の管理責任者(略して「経管(けいかん)」と呼ばれることも多いです)は、次のように定義されます。

経営業務の管理責任者

業務を執行する社員、取締役、執行役もしくは法人格のある各種の組合等の理事等、個人の事業主または支配人その他の支店長、営業所長等営業取引上対外的に責任を有する地位にあって、経営業務の執行等建設業の経営業務について総合的に管理した経験を有する者

どうでしょうか、定義を見てもなんのことだかよく分からないかもしれません。簡単に言ってしまうと、経営業務の管理責任者の要件を満たすのは「建設業を扱う会社で取締役など役員として管理した経験のある人」のことです。たとえば建設業許可を取得している建設会社の常勤取締役に5年(あるいは6年)就任していた人は、建設会社の経営業務を総合的に管理していたとみなされるので、経営業務の管理責任者になることができます。

建設業許可を取得すると、500万円以上の大きな工事も請け負うことができるようになりますので、そういった業務を会社の取締役等としてしっかり経験してきた人を会社の取締役に常勤させましょう、そういう意味合いが強い許可要件です。

実際に建設業許可を取得する場面においては、たとえば個人事業主として5年以上内装工事業に携わってきた人が内装工事の建設業許可を取得する際、経営業務の管理責任者として申請を行うようなケースが多いですが、これまで建設業に全く関わってこなかった会社が新たに建設業許可を取得しようとするとき、許可を持っていた会社の取締役として5年以上就任していた役員経験のある人を新たに常勤取締役として就任させることによって、経営業務の管理責任者の要件を満たすといったケースもまた多いです。

経営業務の管理責任者の「常勤性」

経営業務の管理責任者には役員としての常勤性が求められますので、会社の本店などに文字通り「常勤している」ことが必要です。

個人事業主1人の事業で建設業許可を取得する場合、個人事業主が常勤していないということは通常考えられないため、経営業務の管理責任者の「常勤性」はほとんど問題になりません。同様に、一人社長の会社で社長自らが経営業務の管理責任者となる場合も(その社長が他に会社を経営したり他社の役員に就任しているなどの事情がない限り)、経営業務の管理責任者の常勤性が問題になることは稀です。

常勤性が問題になることが多いのは、建設業許可を取得しようとする会社に複数の役員がいる場合(その中の誰かを経営業務の管理責任者に据える場合)や、建設業許可を取得するために新しい取締役等を会社役員に就任させる場合です。

経管に就任予定の人が他社の常勤役員や代表取締役になっている場合

経営業務の管理責任者の要件でもっとも問題になりやすいといってよいのが、これから経営業務の管理責任者(経管)に就任しようとする人が、他社の常勤役員や他社代表取締役を兼任しているケースです。

まず、他社で常勤取締役になっている人は、それ以外の会社に「常勤している」と言えなくなるため、経営業務の管理責任者の要件を満たしません。逆に言えば、他社で就任している取締役が「非常勤」であることを証明できれば、経営業務の管理責任者の要件を満たす可能性が出てきます。

また、他社で代表取締役に就任している人も、通常、代表取締役はその会社に常勤していますから経営業務の管理責任者の要件を満たしません(ただし、代表取締役が2名以上いる会社の場合は例外的な扱いが可能なケースもあります)。

常勤性の証明

常勤性はまず健康保険証などで証明することになりますが、住民票上の住所と会社の本店に距離がある場合は常勤性が疑われることになりますから、より客観的な資料で証明していく必要が出てきます。

どんな資料をどれだけ用意すれば証明といえるのかについては、建設業許可を取得する都道府県や、申請者の状況等によって異なってきます。

専任技術者との兼任

なお、経営業務の管理責任者には常勤性が求められますが、専任技術者にも専任性が求められます。この2つの「人の要件」ですが、同じ会社内の同じ営業所であれば、兼任することができます(本店の経営業務管理責任者に就任する人が、同時に本店の専任技術者にも就任する場合など)。

個人事業主が建設業許可を取得するケースや、1人社長の会社で建設業許可を取得するケースでは、

  • 個人事業主=経営業務の管理責任者=専任技術者
  • 代表取締役=経営業務の管理責任者=専任技術者

といった具合に、すべてを同一人物が兼任して建設業許可の申請を行うことも非常に多いです。

経営業務の管理責任者と人事異動

経営業務の管理責任者は建設業許可を取得する上で、また許可を維持していく上でも重要な役職となりますが、比較的規模の大きな会社では許可要件となっている経営業務の管理責任者について失念したまま、その他の要因によって人事異動を行ってしまう(たとえば、経営業務の管理責任者に就任している役員を取締役から退任させてしまう)危険があります。

建設業許可を取得している会社での人事異動等については、経営業務の管理責任者や専任技術者といった許可の取得や維持に不可欠な「人の要件」が欠けてしまわないように、許可の管理を行っていくことが大切です。

業種の追加と許可の一本化

たとえば内装工事業の建設業許可を取得した会社で、あらたに管工事の許可も取得して500万円以上の請負契約を締結できるようにしようというケースでは、内装工事業の建設業許可に加えて、管工事業の建設業許可を取得する手続きを進めることになります。

これを「業種追加」と呼びますが、既に何らかの建設業許可を取得している会社であることから、全く新規に許可を取得する場合と比較して申請が簡略化される部分がある一方、新たな業種の許可要件を満たすための証明を要するため、全くの新規で建設業許可を取得する手続きと比してそれほど簡単ではない手続きでもあります。

許可の一本化

業種の追加を行うにあたっては、それまでに取得した建設業許可と、新たに取得する建設業許可の有効期限がバラバラになることを防ぐため、「許可の一本化」という手続きを同時に行うことも多いです。

許可の一本化を行うことで、複数の建設業許可の更新期限が揃うことから、「あの許可の更新手続きを忘れた!」とか「先日、許可の更新手続きを行ったのに別の許可の更新がもう近づいてきた」など、許可の管理に関する面倒を防ぐことができます。

業種追加のタイミングで許可の一本化を行う場合は、既に取得済みの建設業許可の更新手続きを同時に行うことによって、従来の建設業許可の更新期限と新しい建設業許可の更新期限を合わせるかたちをとります。そのため、従来の建設業許可の更新についても要件などが満たされているか、行政庁で確認・審査を行うことになるため、業種追加と合わせて許可の一本化を図る場合には既存の許可の有効期限が6ヶ月以上残っていることが前提となります。

許可の更新と合わせた許可の一本化

なお、複数の建設業許可を手続きの便宜上1つにまとめる「一本化」については、業種追加のタイミングだけでなく許可更新のタイミングでも行うことができます。

業種を追加するための許可申請では、新たな業種に対する専任技術者要件の証明など、申請に時間がかかってしまうこともあるため、このタイミングでの一本化が難しい場合には、建設業許可の期限が到来して更新の手続きを進めるタイミングで、複数の許可の一本化手続きを進めるほうがスムーズであるケースもあります。

建設業許可の業種追加や一本化については、複数の手続きを同時並行して判断・進めなければならないこともあるため、自社で進めることが難しくお困りの場合には、建設業許可を取り扱う行政書士に一度ご相談ください。

建設業の営業所と建設業許可上の注意点

建設業法での「営業所」というのは、「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」のことをいいます。

「営業所」という名称を付けているから営業所として扱われるわけではありませんので、逆にいえば「事務所」「オフィス」といった名称でも、実質的に建設業の営業所であれば「営業所」として取り扱われることになります。

建設業法では、この営業所をどこに幾つ設置するかによって、都道府県知事の建設業許可を取得する必要があるのか、国土交通大臣の建設業許可を取得する必要があるのか、区別して定めています。

建設業許可と建設業の「営業所」

1つの都道府県内にすべての営業所がある場合は、その都道府県知事の建設業許可を取得する必要があります。複数の都道府県に営業所がある場合は、知事ではなく国土交通大臣の建設業許可を取得することになります。

ちなみに、「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」というのは、具体的にはいわゆる営業所のように机や椅子、応接セット、電話、表札などが設置されていて、その場所で契約や契約のための打ち合わせなどが可能であり、また他社などから独立した状態である事務所のことです。(もちろん、その場所を合法的に利用できる権利の存在(たとえば賃貸借契約など)が前提となります)

この際、軽微な工事であれば建設業許可は不要ですが、営業所と許可制度の関係から、それらの状況によっては「許可を取得することによって営業できなくなってしまう」営業所が生じる可能性があるため、この点には注意しながら許可申請を進める必要があります。

注意しなければならないケース

具体的には、以下のような場合です。

  • 東京と千葉の営業所で、軽微な内装工事を請け負っていた会社が、東京で内装工事業の建設業許可を取得するケース

許可前の状態では軽微な工事しか請け負っていませんので、東京の営業所でも千葉の営業所でも、内装工事業を(軽微な工事の範囲内で)営業することが可能ですし、後者も内装工事と管工事とも営業が可能です。

ところが、たとえば東京で内装工事業の許可を取得した場合、東京の営業所では500万円を超える(軽微ではない)内装工事を請け負うことが可能になる一方、千葉の営業所では軽微な工事であっても内装工事を請け負う(契約を締結する)ことができなくなってしまいます。

  • 「建設業許可を取れば業務を拡大できる」
  • 「より広い範囲からの請負契約を受注できる」
  • 「大きな工事を請け負えるようになる」

建設業許可については上のようなイメージが強いですが、営業所と許可制度の関係から、建設業許可を取得することで営業活動を縮小せざるをえないケースもあるため、許可を取得するメリットとデメリット、両者をよく考えての判断が求められることになります。

輸出酒類卸売業免許

酒類を海外へ自社で輸出するために必要な輸出酒類卸売業免許の登録申請のため、各種書類の作成と税務署への提出代行を行わせていただくサービスです。

  • 業務の準備に専念したいので、書類の作成や提出は代行してもらいたい
  • 平日に税務署へ何度も足を運ぶ時間がない
  • 相談しながら酒類販売業免許の申請をしたい

上記のような状況のお客さまに、より適したサービスとなっております。

お酒の販売に必要な輸出酒類卸売業免許の申請をサポート

ご利用料金

弊事務所が、輸出酒類卸売業免許の新規申請を代行させていただく料金です。

基本料金 110,000円(税込)

輸出酒類卸売業免許申請サポートの内容

申請代行サービスの主な内容です。

免許の申請に関する事前相談
所轄庁との事前折衝・確認
必要書類(添付書類)の収集
一般酒類小売業免許申請書の作成
申請書類の税務署への提出代行
現地調査の際の立会い

登録免許税

酒類販売業免許が下りる際に、税務署に対して支払う免許税です。

登録免許税 90,000円

免許までの期間

ご相談いただいた後、酒類販売業免許が下りるまでの目安です。

期間目安 約2カ月から3カ月程度

建設業許可と一緒に取得することの多い許可は?


1件につき500万円以上の工事を請け負う場合(建築一式の場合は原則、1,500万円以上)、予め管轄の行政庁より建設業許可を受けておかなければなりません。

建設業者様においては、建設業許可の必要な「建設業」のみに留まらず、その他の業務も合わせて受任していることも多いのではないでしょうか。

ここでは、建設業許可と合わせて、建設業者様が取得することの多い営業許可・免許について紹介していきます。

産業廃棄物収集運搬業の許可

建設現場から排出される建設廃材は、工事を請け負った会社が自分で運搬する場合には許可を受けることなく可能です。しかし、このような場合、一般的には元請業者が自社で搬出するのではなく、下請業者に工事の一部を請け負わせるのと同時に、そこで排出される建設廃材も合わせて運搬を依頼するケースが多いのではないでしょうか。

このように、自社ではなく他社に産業廃棄物の搬出(運搬)を依頼する場合は原則、その依頼を受ける側の下請業者が産業廃棄物収集運搬業の許可を取得しておかなければなりません。

産業廃棄物収集運搬業の許可は、建設業許可ほど経営や技術に関する人の要件を求められないため、要件的には比較的クリアしやすい許可ともいえます。しかし、たとえば東京都の建設現場で排出された廃材を埼玉県まで運搬するような場合、東京都の産業廃棄物収集運搬業の許可だけでなく、運搬先である埼玉県の産業廃棄物収集運搬業の許可も合わせて取得しておかなければならないため、許可申請先の管轄行政庁が多数になって手続きが進めにくい面があります。

とはいえ、下請として現場に入る建設会社であれば、建設現場から出た廃材の運搬を依頼される可能性は十分考えられるため、その可能性が一定程度あるなら早めに許可の取得を行っておくほうがよいでしょう。

建築士事務所登録

建築士法第23条では、以下のような業務を行う場合に建築士事務所としての登録が義務づけられています。

  1. 建築物の設計
  2. 建築物の工事監理
  3. 建築工事契約に関する事務
  4. 建築工事の指導監督
  5. 建築物に関する調査または鑑定
  6. 建築に関する法令または条例に基づく手続きの代理

実際に設計する事務所だけでなく、建築工事の契約事務を行う事務所も、通常は建築士事務所登録が必要となります。

比較的規模の大きな建設会社では、事務契約のみを行う事務所なら登録しなくて済むと勘違いされているケースも見受けられますが、この点は注意を要します。

一般的には建築一式の建設業許可を取得する建設業者において、建築士事務所の登録も合わせて行うことが多いです。

宅地建物取引業免許

賃貸・売買などを行う不動産業を新たに開業するとき(または既存の会社に新規事業として立ち上げるとき)は、あらかじめ不動産業の事務所を設置する場所の都道府県知事から宅地建物取引業免許(宅建業免許)を受けておかなければなりません。

建設工事を請け負っていた建設会社様が、今後は建売住宅の販売にも業務を広げていこうといったときなどに、宅地建物取引業の免許を申請することになります。

申請の際は、専任宅地建物取引士の設置など、免許の要件を満たさなければなりません。

電気工事業者の登録

電気工事の建設業許可を取得した建設会社様が、他者から依頼を受けて自ら電気工事(一般用電気工作物、一般用電気工作物及び自家用電気工作物の工事)を行う場合には、原則、電気工事業者の登録(みなし登録)を行っておかなければなりません。

産業廃棄物収集運搬業の許可のときは、自ら行う場合ではなく下請業者に排出を依頼する場合に、その下請業者が予め許可を取得する必要がありましたが、電気工事業の登録では「自ら」行う場合に登録が必要となるので、誰が、何を、どうするとき許可や登録を求められるかの基準には注意してください。

古物商許可

建設業者様が合わせて取得するというケースはあまり数は多くありませんが、たとえば解体工事を依頼された物件内に中古品が多数存在し、これらの中古品を買い取って業者に転売する際などには、予め公安委員会から古物商許可を受けておかなければなりません。

建設業許可の種類【どの許可を取得すればいい?】


1件の工事請負代金が500万円以上となる場合(建築一式の場合等は1,500万円以上の場合)、その工事を請け負う前に管轄の行政庁から建設業許可を取得しておく必要があります。

この建設業許可ですが、いくつかの種類に区分されています。そのため、これから許可を初めて取得しようとする方は

  • 建設業許可の種類がよくわからない
  • どの許可を取っておけば適法なのか判断しにくい

といったお悩みを抱かれることも多いようです。

国土交通大臣の許可と都道府県知事の許可

建設業許可の種類ですが、まず大きくは国土交通大臣の許可と、都道府県知事の許可に分かれます。この区分ですが、建設業を営む営業所を複数の都道府県に置く場合が国土交通大臣の許可、1つの都道府県のみに置く場合が都道府県知事の許可になります。

「大臣の建設業許可」と聞くと、知事の許可よりも出来ることが増える(制限が少なくなる)イメージで捉える方もいらっしゃいますが、この区分はあくまで「どこに営業所を設置するのか」で決まるため、大臣の許可だからといって請け負うことのできる工事や金額に差はありません。

国土交通大臣の建設業許可 複数の都道府県に建設業の営業所を設置する場合
都道府県知事の建設業許可 1つの都道府県内に建設業の営業所を設置する場合

たとえば、東京都と埼玉県に建設業の営業所を設置する場合、必要になる許可は国土交通大臣の建設業許可になります。また逆に、東京都のみに営業所を設置する場合は、それがたとえ10箇所であっても、東京都内に収まっている限り必要なのは東京都知事の建設業許可になります。

なお、ここでいう「営業所」というのは営業所という名称が付いていれば該当するのではなく、常時建設工事の請負契約を締結する事務所のことをいいます(ただし、見積もりを行うなどの契約締結に密接に関連する業務も含まれるため、国土交通大臣の許可が必要な「営業所」に該当するかどうかの判断には注意を要します)

当事務所では、これから初めて建設業許可を取得しようとする方からご相談を頂く機会も多いのですが、そのような場合、最初から複数の都道府県に営業所を設置するケースは稀ですから、通常は「都道府県知事の建設業許可」を取得することになります。

特定建設業許可と一般建設業許可

次に、建設業許可は特定建設業許可と一般建設業許可に分かれます。

特定建設業許可は、元請として発注者から直接に請け負う1件の工事を、4.000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)下請け業者に施工させる場合に必要となる許可です。(この金額に元請負人が負担する材料費を含みません)

特定建設業許可は、発注者から直接請け負うことが第一の条件です。そのため、たとえ1件の工事についき1億円分を下請け業者に施工させるとしても、それが発注者から直接に請け負った仕事でなければ特定建設業の許可は要りません。

また、特定建設業許可で制限されているのは下請けに施工を出す金額です。仮に発注者から1億円で請け負った工事でも、下請け業者にはそのうち500万円しか施工させないのであれば、特定建設業の許可は要りません。

なお、当事務所で「建設業許可が欲しい」とご相談をいただくケースでは、必要なのは特定建設業の許可ではなく一般建設業許可であることがほとんどです。

一式工事と専門工事

大臣許可と知事許可、特定許可と一般許可の違いを見てきましたが、他にも建設業許可は一式工事の許可と専門工事の許可という区分があります。

一式工事の許可は、建築一式と土木一式が該当し、専門工事の許可はそれ以外の工事が該当します。

建築一式工事の許可は「総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事を、原則元請けとして下請けの建設業者へ発注する」とき、取得を検討することになる工事業種です。

総合的な企画、指導、調整を行う場合に取得する許可ということは、原則、元請として工事に関わることが前提となります。

また、建築一式を取得するべきか否かの判断については、都道府県によって若干異なることがあるため、建築一式の許可をとるべきか専門工事の許可を取るべきか悩まれたときは、行政庁の窓口か建設業許可に詳しい行政書士に相談してから判断するほうが無難です。

なお、建築一式工事については「どんな工事でも請け負えるオールマイティなパス」といったイメージで捉えている建設業者さんも結構いらっしゃいます(実際、当事務所でも「だからこそ欲しい」と言われることがあります)。

しかし、既に説明したとおり建築一式工事の許可というのはどの工事でも請け負える許可のことを意味するのではなく、あくまで「総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事を、原則元請けとして下請けの建設業者へ発注する」とき取得しておくべき許可になります。

下手に建築一式工事の許可を取得して、そのまま専門工事を請け負ってしまうと、その専門工事については無許可で営業したことになってしまうため、十分ご注意ください。

悩んだときは行政書士にご相談ください

なお、建設業許可の手続きを取り扱う行政書士にとって、「どの建設業許可を取るべきか」「どの建設業許可なら要件を満たして取得できるか」というご相談は日々いただいているご質問です。

どの許可を取るべきなのか、そしてその許可を取ることが可能なのか、悩まれている方は一度ご相談ください。

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